COLUMN
皆さんこんにちは。ウメブラスタッフのエルです。
以前、Switch版のスマブラSpecialからこのゲームを始める人を対象に、こんな記事を書きました。
今回はさらに実際のランキングや具体的なプレイヤー名を出しながら、新作から始めてスマブラSPの競技シーンで、トッププレイヤーになることは客観的に可能なのかを今作の歴史を元に考察します。
トッププレイヤーの定義は人によって諸説あるため明確な基準をもって語ることは困難です。
そのため、記事を3回に分け、この結果を残していればトッププレイヤーと呼べると人が考えられるラインをわかりやすい基準で3段階に分け、それぞれで考察します。
最近色々なイベントで別の業界の人からよくこの手の質問を受けます。
この記事を読んで、スマブラは興味あるけど競技シーンでトップを目指すことはハードルが高いと感じ、参戦に二の足を踏むプレイヤーが1人でも減れば幸いです。
トッププレイヤーの定義とは
この内容を語るにあたって、まずはどれくらいのレベルのプレイヤーをトッププレイヤーと定義するかを改めて説明します。
人によって諸説あることは重々承知していますが、冒頭にも述べたとおり今回私は3種類に分けて、以下のような基準を満たしたプレイヤーをトッププレイヤーと定義しました。
- PGR(世界ランキング)でトップ20に入る
- S(S+)-tier(Super Major)クラスの大会でトップ8に入る
- JPR(日本ランキング)でトップ20に入る
完全に個人の主観となりますが、上に行くほど難易度が高いです。
初めて見る単語も沢山出てきていますが、単語の意味についての説明も兼ねて後述していきます。
今回は私が定義した中で最もハードルが高いと考えている、PGRでトップ20に入るプレイヤーについて書いていきます。
PGR(Panda Global Rankings)
PGRとは何か
スマブラ界隈にある程度詳しい人なら何度か目にしたことがあるであろうこの文字列。
少しイメージがつきづらいという人がいれば、ストリートファイターⅤのカプコンプロツアーのポイントランキングが近いです。
PGRとはアメリカのPanda Grobalというチームが複数の大会結果から、独自の指標を元にランキングポイントをつけ、決まったシーズンごとに出しているランキングのことです。
独自の指標ではありますが、中身はある程度公開されており、開かれる大会を以下のような要素からランキングづけを行い、その大会の順位によってポイントをつけます。
- 参加人数(大会規模)
- PGR上位者の人数(大会レベル)
- 賞金や開催日数(その他の要素)
察しのいい人であればおわかりだと思いますが、規模やレベルが基準になるという性質上日本の大会で勝つだけでは決して上位にいけません。
ランクはC~S(S+)の4(5)段階で分けられ、例を挙げるとスマバトでCランク、ウメブラでBランクになることが殆どです。
過去に日本国内でAランクをつけた大会はウメブラJM(※1)という大会1つだけであり、EVOJAPANでもBランクです。
当然上に入るためには、SやAの大会で上位入賞が必須であるため、トップ20に日本人が名を連ねるということがいかに過酷であるかということが何となく理解できるのではないでしょうか。
余談ですが、このPGRのv1~v4の約3年間という期間おいて不動の1位として名を連ねているプレイヤーが「ZeRo」です。
※1 2017/5/6-7に開催されたユーザー大会。当時300人を超えることは稀な界隈で500人を超える規模で開かれた大会。
PGR v1 (January 2015 – May 2016)
スマブラ3DSが発売されたのが2014年9月13日、WII U版が発売されたのが2014年12月6日。
つまりこの期間はゲームが発売され、大会のレギュレーションの土台が決まりつつある時期です。
ここに名を連ねるのは、そんな約1年半という中でいち早くゲーム性を理解し、スタートダッシュを決められたプレイヤー達です。
ではそんな中で20位に入った日本人プレイヤーを紹介していきます。
- 5位 Abadango
- 9位 Ranai
- 11位 Komorikiri
- 17位 9B
スマブラXに詳しい人ならおわかりかと思いますが、この中に日本国内で新作からのプレイヤー、または前作で無名のプレイヤーはいません。
海外プレイヤーも含めて20位全てを見ると、8位のVoiD、15位のTweek、19位のMkLeoが強いてあげるならスマブラX時代には名前を全く聞かなかったプレイヤーと言えるでしょう。
このことから、新人が1年でトッププレイヤーになるのは非常に厳しく最初の1年は我慢の時期が続くことが予想されます。
少しでも可能性をあげるならば、発売までのあと2ヶ月というこの時期で少しでも多く触って、現役プレイヤーとの差を縮めることが一番です。
新人でトップ10に入るVoiDというプレイヤーは、本人の持つ天性のセンスと努力家という素質に加え、ZeRoの弟子という恵まれた環境が揃って生まれた例外であると私は考えています。
PGR v2 (May – December 2016)
これ以降のPGRは最初のv1と異なり、基本的に半年という期間毎に出されます。
この時期は発売から1年が経過し、2周年に向かおうという中での後半の半年となります。
2016年2月に最後の追加キャラであるベヨネッタの追加、同年5月にVer1.1.6という事実上最後のアップデートを受け今と同じ環境になってから初のPGRです。
それではそんな中で20位に入った日本人プレイヤーを紹介していきます。
- 7位 Abadango
- 11位 Kameme
- 12位 Komorikiri
- 14位 Ranai
- 19位 KEN
新たに名前が出てきたプレイヤーは11位のKamemeと、19位のKENです。
Kamemeは前作のトッププレイヤーではありましたが、この時期まで海外に行っていなかったためv1では出ていませんでした。
注目すべきは、KENという新作から出てきたプレイヤーであり、1年経過~2周年というまさにこの時期に頭角を現し世界のトップ20へと駆け上がりました。
海外のプレイヤーに目を向けると、18位のMr.Eと20位のCamptain Zackが新作からのプレイヤーとなります。
日本という環境で1人、アメリカという環境で2人がこの時期に新人としてさらにトッププレイヤーとして出てきています。
v1を含めると、日本で1人、アメリカで4人、メキシコで1人の合計6人がトッププレイヤーとして名を連ねています。
日本人は僅かに1人ですが、6/20が新人であることを考えると2年本気で頑張れば、新人でもチャンスは十分にあるといえるでしょう。
PGR v3 (January – June 2017)
この期間は最もスマブラWii Uが発展していた時期と言えるのではないでしょうか。
スマブラ界隈において、EVOと双璧を成していたGenesisという大会が最大規模で行われたのも、Wii U史上最高レベルの大会とも名高いCivil war(※2)が開催されたのもこの時期です。
国内においても、上に書いたウメブラJMが開かれたのもまさにこの時期であり、国内外問わずスマブラ界隈で色々なことが起きていました。
また日本人が最も海外で活躍していた時期であり、50位まで目を向けると16人という1/3に近い人数が日本人で占められていました。
それではそんな中で20位に入った日本人プレイヤーを紹介していきます。
- 8位 Komorikiri
- 10位 Abadango
- 16位 KEN
- 17位 Ranai
- 19位 Kirihara
新たに名前が出てきたプレイヤーは19位のKiriharaです。
KiriharaはスマブラXを終期にプレイしていましたが、ほぼ無名のプレイヤーであることを考慮するとKENと同じく新作から頭角を現したプレイヤーです。
海外では残念ながら新作からのプレイヤーで新規のトップ20は誕生せず、今までのプレイヤーの強さが目立った結果となっています。
トップ20には惜しくも新たに1人しか入らなかったものの、日本人が世界のトッププロに対してアップセットを数多く起こしていたことが記憶に残っています。
※2 当時のPGRトップ50の47人が参加した伝説の大会。日本人の活躍が目立った大会でもある。
PGR v4 (July – December 2017)~PGR v5 (January – June 2018)
スマブラWii Uが完全に後半戦に入ったこの時期。残念ながら新たに日本人でトップ20に入ったプレイヤーはいません。
背景としては日本とアメリカの大会数の自体の差と、PGRランクが高く設定される大会がアメリカで増えたことが原因としてあります。
それによってポイントを稼ぎづらくなったため、新規のプレイヤーにはハードルが高くなってしまいました。
世界ランキングに入るためには
今回の結果から言えることは大きく2つあります。新作から世界ランクの上位ランカーを目指す人はこれを忘れないでください。
- 新人はすぐには勝てない
- 後から追いつくのはとても大変
当たり前のことですが、新人はすぐには勝てません。最低でも1年、もしかしたら2年は結果が出ないことを覚悟して望むことが必要です。
また、ゲームが煮詰まってくる後半になるに従い、新規のプレイヤーが新たに入ることはさらに難しくなってきます。
逆に言えば、この時期から初めて年単位の覚悟を持ってプレイすることができれば、新人のプレイヤーでも十分にチャンスがあるということが言えます。
最後に
私が考える中で最も難しい指標であるPGRをトッププレイヤーの証と考えた際の、新人の可能性を考察してみました。
ゲーム性や環境によって多少は変化すると思いますが、この結果が大きく変化することはないという前提で予想しています。
そのため、新作でも1人~2人程度の新人プライヤーが、国内から世界のトップ20に食い込むレベルで生まれるのではないでしょうか。
次回はもっとイメージがつきやすい、S(S+)-tier(Super Major)クラスの大会で勝ったプレイヤーに焦点を当てて記事を書く予定です。
S-tierの大会として最もわかりやすい例はEVOです。
もしよければ次回の記事も読んで頂ければ幸いです。