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【スマブラSP】トーナメント進行に必要な時間と消化人数の限界を考察する

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皆さんこんにちは。ウメブラスタッフのエルです。

先日ウメブラから、ウメブラSP6では512人から256人増員して、768人で大会を開催するとのアナウンスを行いました。

ウメブラとしても1日開催でのこの人数は初めての経験であり、ある意味挑戦してみたいという考えもあり決断を行いました。

海外ではスマブラの大きなイベントといえば、数日に渡った開催が当たり前となっていますが、日本では基本的にスマブライベントは1日開催がメインです。

今回は、そんな1日開催でのスマブライベントで、色々な条件が揃えばどれくらいの人数を対応することができるのかを考察してみたいと思います。

また合わせてこれから大会の運営を考えている人向けに、実際のトーナメントの運営にどれくらいの時間がかかっているのかも合わせて紹介します。

開催にあたっての前提条件

まずは考察するにあたって、開催の前提条件を考えていきます。

はじめに会場ですが、2000人、3000人ときても快適に動ける場所を前提にします。

次に使用するモニタの台数ですが、これに関しても制限は一旦考えないで計算します。

現実的な数字としては、現在のウメブラの128台ないし、192台を限界として考えるのが妥当なところでしょう。

ルールはダブルエリミネーション方式を採用し、大会の終盤で3本先取を入れる場合と入れない場合の両方を想定して考えます。

また非常に大事な時間の制限ですが、10時スタートの20時終わりの10時間で計算します。理由については以下になります。

スタートの10時は受付(設営)と入場時間を考えての現実的な時間、終わりの20時は遠征者が新幹線で帰れる&未成年が安全に帰宅できる現実的な時間として考えています。

それでは以上の条件でどのように開催すれば、どれくらいの人数が対応できるのか考察していきます。

トーナメントは終盤が最も時間がかかる

大会に何度か参加したことがある人や、運営を経験したことがある人はわかると思いますが、トーナメントというのは終盤に多くの時間を使います。

例えば前回のウメブラSP5では512人から96人まで約2時間半で削り、96人から8人まで約2時間半で削り、8人から1人まで約2時間(前回は試合が早かった)で削りました。

見れば一目瞭然ですが、約400人削るのに2時間半、約90人削るのに2時間半、7人削るのに2時間かかっています。

ということでまずは最も時間がかかるTOP8の時間について考察を行っていきます。

TOP8を行うために必要な時間

TOP8というのは通常勝者側4人、敗者側4人まで絞った状態のことを指します。

この状態から優勝者が決まるまでに必要な試合数は10試合(GFがリセットすると11試合)となります。

この中で同時進行が可能な場所は勝者側の準決勝2試合、敗者側のTOP8の2試合、敗者側のTOP6の2試合の3箇所があります。

そのため、同時進行を認めず全試合順番にやる場合最大で11回転(11試合)、同時進行を認める場合は3試合は同時に行えるため8回転(11試合)となります。

それでは実際に時間を計算していきますが、私の経験上2本先取は20分、3本先取は30分見ておけば余裕を持って終わるためこれを基準に計算を行います。

ルールは3種類を想定し、全てを2本先取で行う形式、全てを3本先取で行う形式、EVOで採用されているTOP3のみを3本先取で行う形式3種類で計算します。

結果としては以下のようになります。記載の時間は前が同時進行無し、後ろが同時進行有りになります。

  • 全て2本先取 220分(3時間40分)/160分(2時間40分)
  • 全て3本先取 330分(5時間30分)/240分(4時間)
  • EVO方式 260分(4時間20分)/200分(3時間20分)

以上から、TOP8を進行するためには最低2時間40分、最大5時間30分程度を確保した状態で開始するのが望ましいということがわかります。

勿論これは安全マージンをかなり見た時間となっており、実際にはこれをフルで使うことはありません。

TOP96からTOP8までに必要な時間

次に私が個人的に区切りがいいと考えている、TO96から上記のTOP8まで削るために必要な時間を計算していきます。

TOP96というのは基本的には勝者側32人、敗者側64人の状態を指しますが、今回は96人イベントを想定して勝者側96人の状態も計算します。

また海外の一部大会で見られるように、配信を優先したスケジュールではなく、最大効率で回した場合を前提とします。

ここでいう最大効率とは、モニタを32台用意し、試合開始が可能なカードは試合が全て行われおり、また敗者側と勝者側で同時に行える試合は全て行っているというのを意味します。

試合の回数の細かい説明は省きますが、結局は敗者側に律速するため、TOP96→64→48→32→24→16→12→8の7回転分の時間が必要になります。

TOP96が全て勝者側からスタートする前提だと、これに勝者側の2回転が追加で必要となり、合計9回転分の時間が必要となります。

時間は全て2本先取/TOP48から3本先取/全て3本先取の3通りを想定するとそれぞれ、140分/190分/210分が必要になります(勝者側からの場合はプラス40分)。

そのためTOP96から優勝までを考えた場合、最小で140分+160分の300分(5時間)、最大で210分+330分の540分(9時間)が必要になります。

96人でトーナメントをスタートし、半分のTOP48から3本先取を行い、TOP8は全て配信した場合は9時間40分という計算となります。

これに昼休憩1時間を追加し、壇上でのパフォーマンス時間を30分程度と考えると約11時間となり、全てがマックスで遅くなると間に合わなくなってしまいます。

大人数はその他の要素で時間がかかる

さて次はスタート人数が128人、192人、256人、384人、512人、768人、1024人と計算していくわけですが、おそらく皆さんが想像しているよりは試合時間は増えません。

128人から勝者側で2回転、敗者側で1回転を行えば、勝者側32人、敗者側64人という先程のTOP96と同じ状態になります。

勝者側の2回戦と敗者側の1回戦は同時に進行することが可能なため、実質的には2回転の40分追加で時間を確保すれば96人から128人に増やすことが可能です。

細かい計算は省略しますが、同様に192人に増やすためには更に2回転、256人には更に2回転と2回転ずつ増やしていけばよいです。

そのため同時に最大効率で試合が行えるという計算であれば、1024人→TOP96までは14回転の280分、768人→TOP96までは240分で消化できてしまいます。

TOP96から優勝まで最短でも300分必要なのに対して、1024人→TOP96までは280分で最大効率で回せば理論上削ることができてしまうのは意外だったのでは無いでしょうか。

最大効率で回せば、試合時間だけで考えると1024人から優勝が決まるまで、最大で580分の10時間弱で終わる計算です。

問題になってくるファクター

ではなぜ大人数の大会を開くのが難しいのでしょうか。ここからはその理由について述べていきます。

まず大前提として1024人や、それ以上入る会場を確保するのが現実問題一番むずかしいのですが、今回は前提で述べたとおりこれは考えないものとします。

次にネックになってくるのが機材の台数であり、1024人を最大効率で回すためには512台のモニタと512台のSwitchが必要になります。

前提で書いた128台だと最大効率で回せるのは256人までであり、現在ウメブラは384人以上で大会を行っているため大会の前半を最大効率で回せていません。

具体的な数字は書きませんが、例として384人を256に削るのは最大効率で2回転ですが、128台だと3回転かかります。

それは512人、768人と増えていくにつれて時間の増加が顕著になってくるため、機材起因でトーナメント消化時間は伸びます。

最後に誘導・点呼・受付の問題が出てきます。参加者が多くなると当然広い場所で行うことになり、参加者が試合の場所にたどり着くまでに時間がかかります。

また残念なことに当日欠席や遅刻をしてしまう人も一定数必ずいるため、その人の事実確認をするために時間が取られます。

同時に参加者が増えると、当然ながら受付の時間が膨大になってくるため大会のスタート時間が押されるという問題も発生しますし、トーナメント表の入力や管理に時間が取られます。

これらを総合的に考えて、大人数の大会を開くのは難しいと言われるのです。

最終的な結論は

色々と前置きが長くなってしまいましたが、最終的な結論を書いていきます。

理想パターンとして、会場が十分に広く、機材が無限にあり、参加者が時間通りに対戦台にたどり着け、参加申請と参加費の支払いが事前に済まされている場合を想定します。

その場合は上で考察したトーナメントの消化時間に律速するため、2本先取のダブルエリミネーションであれば上に書いたとおり1024人が10時間弱で行えます。

途中の移動や、昼休憩、表彰式等を加える場合は、細かいところを詰めて進める必要はありますが、理想パターンの最大人数は1024という結論になります。

しかしながら現実問題として、上記したような様々な理由によりトーナメントの消化時間以外の部分に時間を取られるため、現在は512人が現実の理論値ではないかと考えています。

最後に

最初に記述しましたが、ウメブラは次回大会で先程述べた理論値512人を超えた768人に挑戦する予定です。

スマブラの大会史を大きく動かす挑戦であると考えているため、参加者は最大限の協力を、観戦者は大会の成功を祈って頂ければ幸いです。

写真提供
Darimoko/だりもこ
HP:https://darimoko.smugmug.com/Evo2019
Twitter:https://twitter.com/darimoko

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