COLUMN
プロゲーマーRaitoが世界へ挑戦する理由
前回のAbadangoインタビューに続き、Raitoにインタビューをしました!
5月に1ヶ月のアメリカ遠征を実施し、CEO2018でTOP8。さらに悲願であったEVO2018でのTOP8入りを果たした彼に、海外スマブラコミュニティのこと、そしてこれから海外への挑戦を目指す日本人プレイヤーへ向けたメッセージを聞いてきました。
自分にしかできないことをしたい
–Raito選手は国内プレイヤーの中でも特に海外トーナメントへの挑戦に積極的であると感じます。これには何か特別な意味や想いがあるのでしょうか?
単純に、他の人と同じ事をやっていても仕方ないかなっていうのが第一なんですよ。
国内でいうと、いろんな地域・大会に遠征したりっていうのは僕もやってきてはいますが、もちろん他のプレイヤーも同じくやっていることですし、それを発信する人っていうのもいます。
それに対して、海外での活動を通して国内外に発信していくことって今あまりされていなくて、言ってしまえば僕にしかできないことなんじゃないかと思うんですね。
2GGなどに支援されて海外で活動している選手たちって、そもそもあんまりメディアに露出するような人はいなくて、まぁAbadangoとかは例外なんですけど(笑)。
プロになる前からもっと自分たちの活動を発信していかないとっていう意識はずっとあって、僕の活動を見て海外に挑戦したいっていうプレイヤーが増えて欲しいっていう願望がありました。
僕も何もない状態から1人で海外に遠征して、そこから招待を受けられるようになったプレイヤーの一人なので。
そういった強い志を持ったプレイヤーがもっと増えてほしいなっていう想いを込めて、海外での自分の活動をアピールするっていう事を始めました。
–なるほど、自分の活動をたくさんのプレイヤーに見てもらって、それに追随するプレイヤーが増えていって欲しいと。
そうですね。そういう風に願っています。
スマブラコミュニティにおける日本と海外の違い
–海外プレイヤーとのコミュニケーションの中で、日本人プレイヤーとの違いなどを感じる事はありますか?
なんていうか、海外のプレイヤーって他人の興味に対して積極的なんですよね。
日本人同士でもいつも動画見てますとか、Twitter見てますとかいうコミュニケーションはあるんですけど、海外勢は違うんですよ。
「知ってるかRaito、こいつスゲーんだぞ!」とか、初対面でも誰か別の人の紹介をしてきたり、自分の紹介をし始めたりするんですよ(笑)。
次あたる選手の事を話したら、「いやー参ったなお前それはドンマイだな」とか(笑)、最初からすごいフレンドリーなんですよね。
自分が1回だけ話したり、1回だけ対戦した海外プレイヤーって結構いるんですけど、それ以外の大会でダイレクトメッセージをちょいちょいもらう事があるんですよ。
「お前なら絶対できる。がんばれ!」とか激励のメッセージをくれて、ちゃんと文末には「My friend」ってつけてくれて、「あ、自分のこと友達として認識してくれてるんだ」って実感できるくらい、選手同士の距離感が近いんですよね。
とにかくそういうプレイヤーが多くて、海外のスマブラ界隈はフレンドリーな社会なんだなって思いました(笑)。
–たしかに、そういう気質は日本人には無いところかもしれませんね。
そうですね。大会で対戦して、そのあと打ち上げにいったり、宅オフで知り合ったりしてはじめてスマブラの深い話ができるようになるというか、日本の界隈の方が人間関係を築くのにちょっと時間がかかるのかなっていうイメージですね。
まぁ気質なんでしょうけど、僕は最近海外にすごく影響されてきてて、最初からフレンドリーに話すように変わってきました(笑)。
–なるほど、じゃあこれから海外へ遠征したいっていうプレイヤーも行ってしまえばすぐに受け入れてくれるような環境という事ですね。
その可能性は高いですね!
単純に日本人っていうだけで向こうでは「日本人が来たぞ!」ってお祭り騒ぎになってしまうくらい僕らに対してフレンドリーな環境ですし、その中で日本人が海外の強豪を倒したりなんかするとすごい盛り上がります。
この前Zakiさんが初めて海外のローカル大会に参加して、何度か海外プレイヤーと対戦したあと、また別のトーナメントでいきなりMkLeoに勝ってしまって(笑)。
そのあとの別のローカルトーナメントに参加したときには、「Zakiが来たぞー!」って誰かが掛け声をあげたらその場にいるプレイヤーたちがサークルをつくってZakiさんを囲うっていう事態が起きたんですよ(笑)。
–そんな事があったんですか(笑)、じゃあ海外遠征にちょっとハードルを感じていたり、英語が喋れなくて不安に思って尻込みする必要はなさそうですね。
僕は全くないと感じていますね。ただ待ちの姿勢だとさすがにコミュニケーションが始まらないので、ある程度は自分から話しかけるような姿勢は必要だとは思いますけどね。
逆に言えばそれさえできれば言葉の壁を加味しても、日本より早く簡単にコミュニティに入っていけると思います。
海外では常にチャレンジャーでありたい
–Raito選手が日本で活動する時と、海外で活動する時とでそれぞれ意識していることってありますか?
国内だとすでに僕はスマブラプレイヤーとしては強い選手として認知されてきていると思うんですよね。
なので、日本では僕の活動や発信を通して、憧れてくれたり、目指してくれるプレイヤーというのが少なからず居て、そういった人たちが僕に話しかけてきてくれた時に自分の経験や戦術みたいなところをうまく共有してあげられるように意識しています。
それに対して海外では、自分にとっても未知の領域がたくさんあるんですよ。それこそこの前初めてベスト8に残って、初めてあの舞台を体験して、それがまだドキドキが残っているくらいの体験だったんですね。
自分がゲームを始めて12年くらい経ちますが、まだまだ初めての経験や刺激があるなって感じたんですよ。
なので海外ではチャレンジャーでありたいなって思っています。
もちろん国内でも一番大きい大会で優勝できていないのでそこはチャレンジャーなんですけど、気持ちの上でちょっとした意識の違いはありますね。
–最後に、Raito選手が海外で得た経験から、これから海外へ挑戦したいと考えている日本人プレイヤーへメッセージをお願いします。
もし海外へ行こうと思っているなら、その選手の中では目指したい方向性が定まっているんだと思います。目立ちたいとか、強くなりたいとか。
ただ最初は言葉の壁や、お金もかかりますし、敷居が高いと感じるのも当然だと思うので、もし本気で目指しているのなら、うまく自分を使ってほしいというか、頼ってほしいという想いはありますね。
その人が何を目指しているかは聞いてみないとわかりませんが、自分は幅広く経験してきているので、何か提供できる情報は持っていると思います。
自分だけでなく、Abadangoや、Shutonみたいな海外経験豊富なプレイヤーに積極的に声をかけてもらって、自分がデビューするきっかけを掴んでいってほしいです。